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現場経験を通して得られた工具や道具の使い方を現役の現場監督の私が惜しみもなく、みなさんに伝授します。

工具の使い方を知って、
工事現場で頼られる人間になろう。

親綱とスタンションの使い方

親綱とスタンションの概要

監督が教える工具の使い方安全道具、安全用品>親綱とスタンションの使い方

スタンション(親綱用支柱)
親綱(おやづな)とは、高所作業時の手すりの無い部分に綱を張って手すり代わりにするものです。

材質としては小学校中学校で使っていた綱引きの綱に近いものを私は過去に現場で使用しておりましたが、ナイロン性のものや、金属のワイヤーを芯にいれたものまで最近はあるようです。


また、綱を張るための仮設の支柱を「スタンション」と言います。


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スタンションで通じない場合は、親綱用支柱(おやづなようしちゅう)とそのまま言って下さい。
なので、基本的には親綱とスタンションをセットで使用することが多いかと思います。
日曜大工ではまず使いません。


この親綱に命綱である安全帯(あんぜんたい)をかけて、移動と作業を行います。
安全帯については「安全帯(あんぜんたい)」のページを参照。

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使用方法と注意点

まずは、スタンション(仮設の支柱)を開口部(手すりが無く、容易に墜落できる場所)に設置します。

スタンションの下の方はボルトで板を挟み込む構造になっているので、開口部の取り付けられる場所を挟み込んでボルトを締めます。
スタンションを締める
足場関係のボルトの大きさは17mmか19mmで設定されていることが多く、ラチェットレンチという工具を使用すると大体一致します。

このスタンションを最初に開口部付近に取り付ける人は手すりが何もない高さ20mくらいの場所を歩いていくわけなので、危険です。
こういう作業は足場を組む専門の鳶職(とびしょく)に依頼することも多いです。


スタンションを立てたら、親綱をスタンションに通して、手すりを作ります。
親綱の手触りは綱引きで使われる綱の感じで、綱同士の摩擦がすごいので、きつく結べばがっちりつなぐことができます。
スタンションと親綱

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親綱の先端はこういう引っかけるやつがあるやつもあります。
ハリップ(親綱緊張器)
この綱の先端のものを「ハリップ」と言います。
親綱を固定する器具でもあるので、親綱緊張器という正式名称もあります。
大体このハリップだけで6000円くらいします。



高所ではがっちりした親綱を使用するのは、墜落しそうになった場合、人間の体重が全てその親綱にかかる命綱になるからです。


またスタンションを設置する間隔はできるだけ短くした方が安全性は高いと言えます。
最大でも10m以内にはスタンションの間隔をつけるようにしましょう。
私の上の現場では大体3mおきくらいにスタンションを設置していました。


またスタンションとスタンションの間を移動する人数は1人になるようにしましょう。
2人が同時に移動すると2人落下した時に仮設のスタンションで2人分の重さを支えるのは危険です。



一方、工事現場では1m以上の高さも高所とされます。
1mの高さから墜落して頭を打てば十分死亡する可能性があるからです。


そういうところに関しては、親綱ほどでは無いにしろ金属のワイヤーをゴムでおおった被服ワイヤーなどが綱の代わりにしようされます。
簡易的なスタンション
単管パイプに綱を通す箇所を取り付けたものもスタンション。

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スタンションは最初に紹介したような形のものだけではなく、様々な形が存在しますので、親綱をかけるための支柱という要件を満たせば全てスタンションと呼んでいます。


こういう金属製のワイヤーも親綱のように使用したりします。
ワイヤー入り親綱
つなぎ目の無い一本物の長いロープになっている場合が多いので、持ち運びや段取りが大変です。



被覆された中身は金属の針金がいっぱい詰まっていて何トンとかいう重さをかけてもまず切断する可能性は無い。
ワイヤー入り親綱2



締め付け部分がボルトナットである以上は、振動に弱いです。
スタンションは振動で外れる
強風なんかにあおられ続けて揺らされ続けると、どんなにきつくボルトを2本締めていても、いつの間にか写真のようにはずれてしまいます。


上の写真は慌ただしく同じ現場内の別のところで作業していたので管理下の場所のスタンションの見回りを1ヵ月くらいしていなくて、ヤバイと思い出して見にいったら上の状況のようにボルトが外れて奇跡的にまだ引っかかって立っている状態でした。


もし、このスタンションがはずれて20m下に落下していたら、プラント内での重大な危険事項として私は出禁をくらって会社の信用も失墜していたことは間違いなく、今思い出してもヒヤヒヤします。


そうならないためにも、一週間に一回くらいはスタンションのボルトが締まっているかと、親綱に切れ目が無いかなどを全て再点検した方が良いです。

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また仮に落下が発生して安全帯を通して親綱が人を支えたら親の著しい損耗が発生すると思うので、人命につながることなので極力親綱の交換をしましょう。


工事現場での死因のトップ帯には高所作業時の落下が毎回あります。
あくまで仮設の支柱なので、設置したものを信用せずに注意して高所での作業を行って下さい。

ご安全に!


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購入方法と値段

基本的にスタンションと親綱は自社で持つことはあまりないと思います。

リース会社から借りることがほとんどで、値段に関しては会社によってピンきりになると思うので直接問い合わせて聞くしかありません。


万が一買う場合は、さきほども言ったとおり、20m巻きとかの長い一本の綱になるので値段も高く2万~3万円くらいを見込んでいた方がいいかもしれません。

スタンション(支柱)も1本あたり3万円くらいします。
1つの現場で仮に20本とかスタンションを立てたら60万円とかします。
自社保有だと使っていない期間のメンテナンス費用や倉庫の費用とかもかかります。

現実的ではないので、足場の施工含めて足場屋さんに依頼するのが一般的だと思います。

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バナースペース

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独立切子士として
切子の工房を立ち上げました。切子工房 箴光
切子工房 箴光(しんこう)

転職したとはいえ、工事現場で工具の使い方を学んだ経験は江戸切子を作る際にとても役に立っています。


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