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現場経験を通して得られた工具や道具の使い方を現役の現場監督の私が惜しみもなく、みなさんに伝授します。

工具の使い方を知って、
工事現場で頼られる人間になろう。

ワイヤーロープの使い方

ワイヤーロープの概要

監督が教える工具の使い方運ぶ工具>ワイヤーロープの使い方


ワイヤーロープとは、金属の針金みたいなものが100本以上くらいまとまって出来た金属のロープのことです。

想像してみてください、1本の針金を左右に引っ張ってその針金を切ることはできるでしょうか?

そして、その針金を100本に増やした場合、どれくらいの力を支えきれるか計り知れないですよね。

ワイヤーロープとはそういうもので、工事現場で何トンというものを吊りあげるのに使用される金属ロープです。


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使用方法と注意点

一番使用されるワイヤーロープは、24本の針金のまとまりが、6個存在する6×24というタイプのものです。

6×24ということは、144本の針金で支えるということです。

24本で1束の部分をストランドと言います。


図のように、ストランドの中心には繊維芯(黒い部分)が存在し、それらの周りに針金をとりつける感じになっています。

さらに6束のストランドも、中心に繊維芯が存在します。

針金の材質は通常はスチール製で錆びます。

錆びてほしくない場合はスチール製の針金にめっきを塗るか、針金の材質をステンレス製で業者に指定して購入する必要があります。

ステンレスの場合、金属の値段が高いのでワイヤーロープの値段も高くなります。

ワイヤーロープのねじり方にはストランドのねじり方の指定と、6束全体のねじり方の指定があります。
1束であるストランドの指定には普通撚りかラング撚り、6束全体のねじれ方向にはS撚りとZ撚りがあります。
撚る(よる):ひねること。ねじること。


通常は「普通撚りのZ撚り」を使用します。

ストランドの普通撚りは、撚りが戻りにくく、キンクというワイヤーロープの損傷も起こりにくいのですが、表面の摩擦が大きく、消耗しやすいです。
一方、ラング撚りは、その真逆で、摩擦が少なくロープ自体は長持ちしますが、撚りが戻りやすく、キンクという致命的なワイヤーロープの損傷を起こしやすいです。

ストランド6本のねじり方向はS撚りかZ撚りですが、そのねじれ方向でどういう効果があるかは忘れました。


ワイヤーロープの先端は輪っかになっています。
それはもちろん、その輪っかにクレーンの先をひっかけて吊るためです。

で、その輪っかの作り方も2種類存在します。
さつま加工とロック加工です。

さつま加工はワイヤーロープの先端をほかの部分に編み込んで輪っかを作る方法です。
一方、ロック加工は金属の筒でギュッとワイヤーロープを絞って輪っかを作る方法です。
ロック加工は「圧縮止め」という言い方もあります。

下記のような特性があります。


ワイヤーロープを物にかけるには「玉掛け技能講習」という講習を受けないと作業できないことに日本の法律でなっています。

「玉」とは「大事なもの」という意味があります。

身近なところで言うと、将棋の駒で片方は「王将(おうしょう)」、もう片方は「玉将(ぎょくしょう)」となっていますが、その将棋の駒も「大事なもの」という意味で使用されています。

その玉掛け技能講習内で、一冊の本を使って玉掛けの方法を勉強することになるので、さっき話したラング撚りとかそういう話も全て出てきます。

工事現場では「玉掛け技能講習」は最も基本的な能力になりますので、ここで全て理解できずともいずれ玉掛け技能講習ですべてを理解するでしょう。


ワイヤーロープにこういう曲がりのクセがついてしまうと良くないです。

反対側に折る力を加えてまっすぐになるように補正したりします。


144本のうちのいくらかの針金が断線してケバケバしていますね。

玉掛け技能講習でやると思うのですが、全体の10%ほど断線していたら使用不可とかそんな感じだったと思います。
ちなみに写真のワイヤーロープはZ撚りになっていますね。


工事現場では100%と言っていいほど、点検色という物が存在します。
下の写真の輪っかの根元につけた黄色のビニールテープがそうです。

毎月の月初めにワイヤーロープの断線とかを点検し、OKならその月の指定の色のビニールテープを巻きつけてから使用するというものです。

指定の色は各社でルールが違うので、働いている場所で定めている点検色のテープを巻きます。

ちなみにワイヤーロープを保管するときは上の写真のようにぐるぐる巻きにして保管します。




購入方法と値段

ワイヤーロープは驚くことなかれ、ワイヤーロープを専門に作る職人が存在します。

なので、基本的には受注生産みたいな感じになるので、まずはワイヤーロープを扱っている業者に作ってほしいワイヤーロープを発注するという形になります。

ワイヤーロープ欲しいなぁと思っても1日2日では手に入りません。

この発注する際にさっき教えたことを業者に聞かれますので、それを答えていかないといけません。

さっき教えたというのは、
・素材(普通のスチール製かステンレス製)
・めっきの有無(スチール製の場合)
・針金の数(6×24タイプのもの)
・撚り方(普通撚りのZ撚り)
・輪っかの加工(さつま加工かロック加工)

なので、そこらへんを明確にしてから業者に電話すると良いでしょう。


値段は業者ごとに違いますが、割と高めになることでしょう。

5000円~10000円くらいは見積もった方がいいでしょう。

私の場合、結構いいワイヤーロープを頼んだら、値段は忘れましたが「ひえ~自分では買いたくない値段だ」って思うくらいの金額だったこともありました。


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独立切子士として
切子の工房を立ち上げました。切子工房 箴光
切子工房 箴光(しんこう)

転職したとはいえ、工事現場で工具の使い方を学んだ経験は江戸切子を作る際にとても役に立っています。


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