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現場経験を通して得られた工具や道具の使い方を現役の現場監督の私が惜しみもなく、みなさんに伝授します。

工具の使い方を知って、
工事現場で頼られる人間になろう。

ワイヤーブラシの使い方

ワイヤーブラシの概要

監督が教える工具の使い方表面をきれいにする工具>ワイヤーブラシの使い方


ワイヤーブラシとは、ブラシの毛の部分が固い金属になっているブラシのことです。

鉄を加工する鉄工の時に登場する道具です。

鉄は表面の酸化を抑える被膜が無いと雨に降られて、ものすごいサビます。

鉄の錆びた表面をゴシゴシ削ってサビをある程度落とすことに使用されます。

鉄工で使用するので日曜大工(木工)で使用することはないです。


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使用方法と注意点

歯ブラシをデカくしたような工具です。

使い方は歯ブラシといっしょで毛の部分が硬めの金属のブラシになっているので、柄の部分を持ってサビのついた部分をゴシゴシ磨きます。


歯ブラシの毛の部分が金属になっています。

でも、サイズは歯ブラシよりふたまわりくらいデカいです。

ゴシゴシ磨くと、サビが粉上になって鉄板の上に残ります。

木をヤスリで磨いた時と同じように削りカスが削った場所を覆ってしまいます。

そのまま息でフッと吹きかけて粉末上のサビを飛ばすことも可能ですが、舞ったサビを吸ってしまうと将来に肺の病気になる危険が高まります。

この場合、防塵マスクを装着し、ハケでサビを掃くと安全に作業できます。

ワイヤーブラシの毛の部分は針金みたいなもので、私なんかは腰にぶら下げた工具袋から見ないでワイヤーブラシを取り出そうとするときに良く手を傷つけてしまいます。
そこそこ痛いですし、血が出るときもあります。


ワイヤーブラシの毛には種類があります。
1.鉄製
2.真鍮(しんちゅう)製
3.ナイロン製

鉄製の物は、毛がかなり固いので、サビがたくさん出ている場所をゴシゴシ掃除できますが、サビじゃない部分を傷つける可能性も高いです。

真鍮製のものは毛が鉄に比べてやわらかめで、サビが浮き始めたかな?というところに使用すれば、表面を傷つけづらく、サビを落とすことができます。

ナイロン製の物は、サビを落とすのではなく、オイルやグリスを浮かせるのに使用したりします。
浮いた油はウエスという拭き取り用の布きれで拭いて表面をきれいにします。


ちょっと実践的な話をします。
溶接をすると、スラグという溶接線を保護する固まりが出来上がります。

溶接部には、黒い「スラグ」というフランスパンみたいな表面の塊が出来ます。

熱が冷めるまで、このスラグが溶接線を外気から保護し、きれいな溶接線を作ります。

しかし、溶接部が冷えたあとはスラグは役目を果たしてただのゴミ(産業廃棄物として処理)になるので、スラグを叩いて破壊します。



スラグを叩くと、スラグが割れて下から溶接線が出てきます。割れたスラグは集めて産廃で処理します。


溶接線が出てきますが、割とゴミが溶接線に詰まっているような見づらい状態なので、ここでワイヤーブラシを使用します。

溶接線をワイヤーブラシでゴシゴシ削ります。


ワイヤーブラシをかけると、ここまで溶接線がきれいになります。

ここまで溶接線がきれいになれば、溶接線に穴が開いていたりだとかの溶接の欠陥を目視で確認できるようになります。
でも、写真のように、溶接線付近には丸い粒々がたくさんついていますよね?

この粒々は溶接をする際に周辺に飛び散った溶接棒の残骸である「スパッタ」というものです。

このスパッタは飛び散った金属で不要なので、このスパッタは最終的に全て取り除きます。

ワイヤーブラシではスパッタは取れないので、スクレーパーで落としたりしますが、一番良いのはグラインダーです。

グラインダーなら、溶接線をきれいにしながらまわりのスパッタを削り取ることができるので、溶接線を仕上げる時は基本的にグラインダーを溶接線にかけます。

ワイヤーブラシとは比較にならない程、きれいになるし、周辺のスパッタも全て取り除けます。


なので、ワイヤーブラシはグラインダーが無い時に簡易的に溶接線を削って見る場合や、一度グラインダーをかけた場所が錆びて、少しだけ表面のサビを落として溶接線を見たい時に使用します。

以上、実践的な話でした。


購入方法と値段

ワイヤーブラシの値段は毛の種類に寄らず、
200円~500円で買えます。

そこまで高いものではありません。


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独立切子士として
切子の工房を立ち上げました。切子工房 箴光
切子工房 箴光(しんこう)

転職したとはいえ、工事現場で工具の使い方を学んだ経験は江戸切子を作る際にとても役に立っています。


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