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現場経験を通して得られた工具や道具の使い方を現役の現場監督の私が惜しみもなく、みなさんに伝授します。
現場監督が教える工具の使い方
工具の使い方を知って、
工事現場で頼られる人間になろう。
ハンマーの使い方
ハンマーの概要
監督が教える工具の使い方
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力で変形させる工具
>ハンマーの使い方
ハンマーは木の棒の先に鉄の塊がついた工具です。
私たちが最初に触れるハンマーは木工用の釘を木に打ち込むためのハンマーだと思います。
それは、小学校の図工の授業や、夏休みの自由研究などで触れる機会があると思います。
そして、それ以降、大人になってもその小学校でハンマーを使った時の経験しか無い人も多いと思います。
工事現場では、大きめのハンマーが使用されることが多いです。
一般的な家庭で使うハンマー
工事現場で使うハンマー
ハンマーのヘッド部分の鉄の塊のデカさが、鉄工工事用の方が明らかにデカいですよね。
現場のハンマーを1つ撮影。
2.2キロのハンマー。
まるまる手のサイズくらいの鉄の塊がついています。
この打ちこむところのデカさ!
家庭で使っているハンマーを思い出してみてください。
大きさが全然ちがうでしょ。
鉄工の場合だと、溶接した直後10秒以内くらいの溶接部が熱いうちに、ハンマーで思いっきり溶接した部位を叩きます。
溶接すると、母材(溶接でつなぐことになった物同士のこと)周辺が軽く「へ」の字に曲がろうとします。
2枚の平らな板を溶接でつなげて何もしなかったらこのようにヘの字に曲がってしまいます。
現場での実際の写真です。
それを溶接直後にハンマーで思いっきり叩いて平らに戻します。
難しい言葉でいうと、残留応力のピーニングと言います。
残留応力とは鉄板内に残った曲がろうとするパワーです。
溶接で母材をつないだはいいのですが、その時に加えた熱が残留応力となり、鉄板を曲げようとします。
ピーニングは、ハンマーで溶接部を叩くことで、への字に変形する力を相殺することです。
への字に曲がると、構造的にも良くないし、さらにへの字に曲がりすぎると、鉄板の割れにつながるので、できるだけピーニングして平らのきれいな状態に仕上げます。
長年の経験で、どこをどれくらい叩けばまっすぐになるかというのを計算して職人は叩いているので、
手慣れた職人が溶接後にハンマーでピーニングしていることが多いです。
実際に溶接工がピーニングを行うために、ハンマーをすぐ打てる位置に置いている写真。
この溶接の後、めちゃくちゃピーニングした。
鉄板をハンマーで思いっきり叩くので、めちゃくちゃうるさいです。
近くに居るとイラッとするくらいうるさいです。
ピーニングする本人に耳栓は必須でしょう。
鉄を加工する町工場の近くに住んでいる人は1年中このピーニングのうるさい音が響いてきて困っているという悩みもあるので、家を買うときは閑静な住宅街を選ぶといいでしょう。
騒音に関しては現在の法律では対処しにくいところがあります。
刑法や民法では、この騒音に関しての規制が存在しません。(私は元々事務系だったので、主要な法律も全部読んだりしたんですよ)
唯一、騒音で訴えることができるのは、憲法の中の環境権という権利ですが、その環境権も騒音のみを指定した法律ではないので、少し難しいところもあると思います。
暴走族が深夜に爆音で道路を走っても警察が彼らを捕まえないのはそういう騒音に対する法律が無いからです。
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使用方法と注意点
私たちがよく知っている釘を打つ時のハンマーなら特に問題ないと思いますが、鉄工でピーニングするときのハンマーはにぎりこぶしの半分くらいの鉄の塊がついているものを使用しています。
それを結構な力で鉄板に向けて叩くので、振りかぶった時に後ろに人がいてぶつかったとか、ハンマーが対処物に当たらず、その勢いのまま自分のスネをハンマーで打つとか注意してください。
重量があって、ちょっとした振りかぶりでも結構なパワーを持つようになるので、一見大丈夫そうでもハンマーを食らった側は結構な衝撃を受けています。
今まで一番ヤバいなと思ったのが、両手で持って振りかぶらないといけない木の棒の部分が70cmくらいの特大ハンマーを使用して、地面に鉄の杭を打ち込む作業です。
特大ハンマーを振りかぶって杭にめがけて打ち込もうとしたのですが、当たらずに、その勢いのまま自分のすねに当たりました。
まだ若くて骨も丈夫だったと思うので、本当にとても痛いのが一日中続いただけで済みましたが、30代以上だったら骨折してても全くおかしくなかったです。
そもそも一日中歩くたびにすねが痛むというのは、普通の状態ではなかったと思います。
現場で骨折など使用ものなら、危険な業者として次の仕事をお客からもらえなくなる可能性もあるので、かなりあぶない出来事だと思いました。
購入方法と値段
ハンマーは本当に身近な工具なので、ホームセンターに行けば間違いなく売っていますが、鉄工用のデカめのハンマーが売っているかどうかはわかりません。
値段は大きさによってピンきりですが、
小さいものが3000円、
中くらいのサイズ(と言ってもかなりデカい)で10000円、
とても大きなサイズで30000円とかします。
日曜大工で使うなら3000円くらいの小さいもので十分でしょう。
鉄工でピーキングするなら7000円~10000円くらいする中型サイズのハンマーを使用するといいでしょう。
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